Sept. 29, 2023
第19回共焦点ラマンイメージングシンポジウム (19th Confocal Raman Imaging Symposium) レポート:さらに多様なテーマにフォーカス
ますます拡がるラマンイメージング。会議のプログラムは実に多様でした。
共焦点ラマンイメージングシンポジウムは、再び国際的な分子特性評価コミュニティを主催し、最新の発見を発表する舞台を提供しました。このイベントは約 20 年にわたり、その手法とともに進化しており、19 回目となる今回は、 2023 年の最先端の展示が行われました。
月曜日の午後は、ドイツのデュースブルグ・エッセン大学 (University Duisburg-Essen) のSebastian Schlücker教授によるラマン分光法の基礎理論に関する包括的な入門講座で幕を開け、続いて、ドイツのゲーテ大学フランクフルト・アム・マイン校 (Goethe University Frankfurt am Main) のMaike Windbergs教授による、最先端の生物医学研究においてラマン顕微鏡が果たす役割についての講演が行われました。
ポスターセッションや懇親会は、参加者はリラックスしつつも科学的には厳格なシンポジウムの雰囲気のなか賑わいを見せ、イブニングレクチャーへと向かいました。そこでは、オーストリアのウィーンにある美術史美術館 (Kunsthistorisches Museum) の保存科学者、Martina Grießer博士が、「神聖ローマ帝国の王冠の輝き - フォトルミネッセンスとラマン分光法で宝石を照らす(The splendor of the Imperial Crown of the Holy Roman Empire - Illuminating the gemstones by photoluminescence and Raman spectroscopy)」と題する講演を行い、主要な文化遺産調査の一端を垣間見ることができました。
シンポジウムの2日目のスケジュールは、二次元 (2D) 材料、電池研究、微粒子・マイクロプラスチック、製薬・生物科学、栄養学、地球外物質、視覚生理学、白血病診断、バイオミネラリゼーション、先進の電気化学など、今日もっとも重要なラマン顕微鏡アプリケーションのハイライトリールでした。
ウルム市のシュタットハウス (Stadthaus) の壁一面に貼られた印象的なポスターの中から、アイルランドのゴールウェイ大学 (University of Galway) のPeter Owens博士が、ラマン顕微鏡が線維症のin situ診断に適していることを実証した業績により、ポスター賞に選ばれました。
3 日目には参加者が WITec 本社に集まり、発売されたばかりの alphaCART 可動式ラマンシステムなど、最新の装置のライブデモンストレーションが行われ、研究者が次に向かう先について常に熱心に耳を傾けている開発チームと交流しました。
今年のシンポジウムは、ラマン顕微鏡利用者にとっては、この上ない豊かな経験となったと改めて確認できました。設立当初から学際的だったのですが、ラマンイメージングが世界中の研究室で不可欠な能力となるにつれ、展示されるアプリケーションやアプローチの範囲はますます拡大しており、この手法の進歩のようすが見て取れます。
来年もまた、第20回ラマンイメージングシンポジウムが開催予定です(2024年9月23日~25日,ウルム市)。ぜひご参加ください。詳細は、www.raman-symposium.com をご覧ください。
WITec(ビーテック)について
WITec は、3D ラマンイメージングと相関顕微鏡のパイオニアであり、スピード、感度、分解能に妥協のない製品ラインナップで、業界をリードし続けています。ラマン顕微鏡、AFM 顕微鏡、SNOM 顕微鏡、およびビーテックが開発した Raman-SEM(RISE)装置は、拡張可能なモジュール式のハードウェアおよびソフトウェアにより、化学および構造特性評価において特定の課題に合わせてカスタマイズすることが可能となっています。研究、開発、生産はドイツ・ウルム市のビーテック本社(WITec GmbH)で行われており、ビーテック製品の販売・サポートネットワークは世界のあらゆる地域で確立されています。2021年9月、ビーテックはオックスフォード・インストゥルメンツ・グループの一員となり、ラマン顕微鏡の技術的リーダーシップをその幅広い事業ポートフォリオに取り込みました。
本記事に関するお問い合わせ先
オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社
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