2 March 2022
オックスフォード・インストゥルメンツ、2022年LOR (Lee Osheroff Richardson)科学賞の受賞者にパデュー大学のジェームズ・ナカムラ博士を選出
ジェームズ・ナカムラ博士 (Dr. James Nakamura) は、v=1/3の分数量子ホール状態における準粒子のアニオン編組統計を初めて直接観測したことで知られています。ナカムラ博士の実験結果は、40年近く前にウィルゼック (Wilczek) とハルペリン (Halperin) が行った理論予測を実証するものであり、彼の研究は、凝縮系におけるトポロジカル相の研究において重要な位置を占めることになるでしょう。
LOR科学賞は、北南米の低温・強磁場・表面科学の分野で活躍する若手科学者の斬新な研究を奨励し、その功績を称えるものです。
「2022年のLOR科学賞を受賞したことを光栄に思います。この賞のおかげで、有効電荷と分数統計が発散する他の分数の調査など、私のグループの研究を継続することができます。私と共に研究してくれた仲間の研究者たち、そしてこのような名誉ある賞で私の功績を認めてくれたオックスフォード・インストゥルメンツ社に感謝します」
ナカムラ博士は、2019年と2020年に発表された、量子ホール干渉計における1/3状態の分数統計学を実験的に実証した傑作論文の筆頭著者です。パデュー大学のマイケル・マンフラ(Michael Manfra)の研究グループのポスドク研究員として、ナカムラ博士の実験結果は、エニオン(ボソンでもフェルミオンでもない粒子)が低次元の強相互作用電子系でプローブされ操作されうるという最も有力な証拠です。
2022年LOR科学賞選考委員会は、マクマスター大学のブルース・ゴーリン教授が委員長を務め、以下のメンバーが参加しています。NHMFL および FSU の Laura Greene 教授、トロント大学の Hae-Young Kee 教授、ジョンズ・ホプキンス大学の Collin Broholm 教授、コロンビア大学の Cory Dean 教授、ワシントン大学の Matthew Yankowitz 博士(2021 年受賞者)です。
オックスフォード・インストゥルメンツは、科学者の多くが博士課程を修了してから正式な研究職に就くまでの段階が重要で、しばしば困難であることを理解していました。そこで同社は過去14年間、北南米のLOR科学賞のスポンサーとして、革新的な研究を行う個人に対して、経済的な支援と研究成果の適切なプロモーションの両面から支援してきました。この賞は、1996年に「ヘリウム-3の超流動」の発見でノーベル物理学賞を共同受賞したデビッド・M・リー(David M. Lee)、ダグラス・D・オシェロフ(Douglas D. Osheroff)、故ロバート・C・リチャードソン(Robert C. Richardson)教授にちなんで名づけられました。
これまでのLOR 科学賞の受賞者は、Matthew Yankowitz博士、Sheng Ran博士、Paula Giraldo-Gallo博士、Kate Ross博士、Brad Ramshaw博士、Mohamad Hamidian博士、Cory Dean博士、 Chiara Tarantini博士、Lu Li博士、Kenneth Burch博士、Jing Xia博士、Vivien Zapf博士、Eunseong Kim博士、Suchitra Sebastian博士、Jason Petta 博士およびChristian Lupien博士です。