19th October 2020
オックスフォード・インストゥルメンツ、"Proteox5mK"を発表 – 次世代の量子研究を実現する世界最低温の無冷媒希釈冷凍機
オックスフォード・インストゥルメンツのProteox5mKは、量子研究者による次世代量子コンピューターの開発を可能にする、世界で最も低温の無冷媒希釈冷凍機です。
低温での物質の状態を探ることで、外部からの相互作用に対する耐性を高め、コヒーレンス時間を長くした次世代の安定した量子ビットの開発に利用されます。
このような低温は、熱揺らぎのノイズに隠されたかすかな量子効果を明らかにするために不可欠です。物質の温度が低ければ低いほど、量子の世界の隠された特徴を解明することができ、これらの新しい物質についてより多くのことを知ることができます。低電子温度と強磁場を組み合わせることで、マヨラナフェルミオンやフィボナッチ粒子などの神秘的なな量子状態を、フラクショナル量子ホール効果を用いて特徴づけることが可能となります。
Proteox5mKは、オックスフォード・インストゥルメンツの最も強力な希釈冷凍機ユニットとアクティブ・ガスギャップ・ヒートスイッチを利用して、あらゆる商用希釈冷凍機で利用可能な最も低い連続ベース温度である5mK以下のベース温度を達成します。アクティブにキャンセルされた磁場は、高磁場で超低ベース温度を維持するために、渦電流加熱を効果的に抑えることが出来ます。渦電流による発熱を抑えるためには、低振動が不可欠であり、本システムには、パルス管からの変位を最小限に抑えるための複数の受動的な振動低減機能が組み込まれています。オックスフォード・インストゥルメンツは、製品のコンセプトから低振動のための設計を行い、Proteoxプラットフォームにおける高価なアクティブダンピングは必要ない事を証明しています。量子輸送研究に適していることは明らかですが、20mKで25μWという高い冷却能力と低いベース温度は、分光学や量子アニーリングを含む研究分野でより広い応用が可能です。
"ナノサイエンス部門のマネージング・ディレクターであるスチュアート・ウッズは、「Proteox5mKは、5ミリケルビンの基本温度と最大14テスラの磁場を実現し、新しい材料の理解を可能にします。弊社は次世代の量子技術を開発するための最高のプラットフォームを提供します。オックスフォード・インストゥルメンツは、量子研究者が、初期段階の単一量子ビット研究から商用量子コンピューターのスケールアップまで、次世代量子技術の開発のための最高のプラットフォームを利用できることを保証します」と述べています。
Proteox5mKシステムは、Proteoxのプラットフォームをベースに、Webベースのコントロールシステムを採用し、リモート接続、自動化ルーチンの最適化、データの可視化機能の強化など、使いやすさを追求しています。また、特許取得済みのガスギャップ・ヒートスイッチシステムにより、実験プレート間の熱伝導率を積極的に調整することができ、システム制御のさらなる利点が得られます。オックスフォード・インストゥルメンツは、2020年10月19日から22日に開催されるQuantum 2020において、新しいProteox5mK希釈用冷凍機を発表します。なお、本システムは現在購入可能です。
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