Sep. 2, 2021
ラマン顕微鏡で食品サンプル中の二酸化チタンを検出
二酸化チタン(TiO2)は、食品業界で白色顔料(E 171)として長い間使用されてきました。近年、発がん性の可能性があるとの懸念から、精査が強化されています。 2021年5月、欧州食品安全機関(EFSA)は、「この物質はもはや安全な食品添加物とは見なされない。」と発表しました(EFSAウェブニュース)。これにより、欧州の食品メーカーは、製品のTiO2を代替品の白色顔料に置き換えることになりました。
ラマンイメージング顕微鏡は、食品添加物を分析において非常に効果的な手法であり、TiO2は強いラマンシグナルを示すため、極めて検出が容易です。この調査は、EUと米国の2つの異なる市場で生産された同じ種類のキャンディーの比較です。キャンディーの表面には、カラフルなコーティング(A)に白い「S」が印刷されており、ラマン分析により、使用されている顔料の化学的同一性が明らかになります。測定は、488 nm励起レーザーと、安定したフォーカス位置制御による表面形状追従ラマンイメージングができるTrueSurfaceテクノロジーを搭載したalpha300 Rを使用して実行されました。
ラマンイメージングは、両方のキャンディーの周囲の砂糖のコーティングからプリントを明確に区別し、表面形状追従ラマンイメージは、それらの曲面を示しています(BおよびC)。 Sを形成する白色顔料は、ラマンスペクトルによって、米国のキャンディーがTiO2(BおよびDの赤)、EUのキャンディーが炭酸カルシウム(CaCO3)(CおよびDの青)としてそれぞれ識別されました。ラマン分光法は、TiO2の結晶形を区別することさえできます。米国のキャンディーのプリントはアナターゼ(BとD)で構成されています。