Feb. 7, 2023
WITecが神聖ローマ帝国の王冠の調査に貢献
~ラマン分光法が、宝石の詳細を明らかに~
ウィーンの美術史美術館 (Kunsthistorisches Museum, KHM) では、神聖ローマ帝国の王冠の調査において、これまでと比べて最も詳細な分析を行うために、WITec(ビーテック)のラマン顕微鏡をはじめとする最新の機器を使用しています。このヨーロッパ史上、稀に見る芸術品、かつ西洋金細工の最高傑作である王冠は、何世紀にもわたって国王や皇帝の戴冠式に使用された後、王宮宝物館 (Imperial Treasury) に保管されています。
王冠の重要性、そしてその計り知れない価値を考えると、ラボ(実験室)をサンプル側に持ち込む必要がありました。KHMの科学研究所 (Scientific Laboratory) 所長であるMartina Griesser博士の研究グループと、ウィーン大学 (University of Vienna) 鉱物学・結晶学研究所 (Institute of Mineralogy and Crystallography) のLutz Nasdala教授、そしてWITecとの連携により、ポータブルラマンシステムが調査のために宝物館に設置されることになったのです。簡単なトレーニングセッションの後、対象物の歴史を詳細に知ることができるデータを取得できました。
Nasdala教授が、ラマン分光法とフォトルミネッセンス分光法を用いて、王冠の172個の宝石の特性を調べたところ、71個のサファイア、50個のガーネット、20個のエメラルド、13個のアメジスト、4個のカルセドニー、3個のスピネル、11個の異なる色のガラス片から構成されていることがわかりました。また、レッドスピネルから1000 °C近くまで加熱された痕跡が発見されました。
予備的な科学データが、1月30日にウィーンで行われた記者会見で発表され、王冠の歴史的背景が説明されるとともに、WITecの貢献が注目されました。さらにその調査結果は、Journal of Gemmology誌に近日中に掲載される予定です。また、このプロジェクトに関する展覧会が美術史美術館(Kunsthistorisches Museum)で開催予定となっています。
科学、美術史、考古学に興味のある方は、ぜひこの魅力的な研究に触れてみてください。
王冠 (Imperial Crown) のプロジェクトページ(英語)
ウィーン大学の王冠に関するページ (ドイツ語)
WITec(ビーテック)について
WITec は、3D ラマンイメージングと相関顕微鏡のパイオニアであり、スピード、感度、分解能に妥協のない製品ラインナップで、業界をリードし続けています。ラマン顕微鏡、AFM 顕微鏡、SNOM 顕微鏡、およびビーテックが開発した Raman-SEM(RISE)装置は、拡張可能なモジュール式のハードウェアおよびソフトウェアにより、化学および構造特性評価において特定の課題に合わせてカスタマイズすることが可能となっています。研究、開発、生産はドイツ・ウルム市のビーテック本社(WITec GmbH)で行われており、ビーテック製品の販売・サポートネットワークは世界のあらゆる地域で確立されています。2021年9月、ビーテックはオックスフォード・インストゥルメンツ・グループの一員となり、ラマン顕微鏡の技術的リーダーシップをその幅広い事業ポートフォリオに取り込みました。
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